筆の力
- 花墨舎-sisui
- 2024年8月2日
- 読了時間: 2分
更新日:2024年8月20日
第一回の個展「通過点の書」の準備をしていた頃のことでした。
当時所属していた社中の審査会にいつも顔を出されている筆屋さんから
「こういう筆があるんだけれど、使ってみませんか?」
と手渡されたのが 「孔雀の羽毛筆]
腰がないので書きにくい筆だよ…と知らされたのは個展初日のことでした。
たしかに書きにくくはあるけれど、羊毛筆も扱いが難しいので、
こういうものなのだろうとその筆で無中になって書いた作品は複数点となり、
淡墨では面白い線が現れ、印象に残る作品が書けました。
思い返すと、手元を離れた作品はその「孔雀の羽毛筆」で書いたものばかりです。
そういえば、韓国ドラマの時代劇に登場する将軍の帽子にも、孔雀の羽飾りがありますね。
勝利を導き邪を祓う力が「孔雀の羽」にはあり、古来より動物の毛を筆に用いるのは、そういった力を文字に込めるという意味があったそうです。
文字は神の御宣託を記すために誕生し、時を経て現在の姿になっていますが、神聖なものとして扱われてきました。
「書は人を表す」と云われますが、書く人の精神性が筆を持つ指を伝って紙上の線に現れ、筆の毛はそれを伝える役目を担います。
文字を書くための道具…だけではないように思います。
人目を惹く作品には、そういった目に見えないエネルギーが凝縮されているのではないでしょうか。
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